簡易カーブトレーサーアダプタ

始めに
カーブトレーサーとは、ダイオードとかトランジスタとかの電圧−電流特性を見るための測定器です。
以前いた会社では、ICの端子とVDD(電源プラス)又は、ICの端子とVSS(電源マイナス)間をカーブトレーサで見て壊れているICの端子を見つけるために使っていました。
カーブトレーサーを設計してみようと思ったきっかけは、中国の工場に赴任していた時に中国にもカーブトレーサーがあればもっと原因調査ができるかな、日本に帰ったら作ってみよう!と思ったのがきっかけです。
カーブトレーサーは高価な測定器です。なかなか調査用設備にまで予算を取れないのが実態でした。

回路について
オシロスコープにつなぐとダイオード特性が見れる簡易カーブトレーサーアダプタを作りました。
左側のTL084の中のオペアンプ2個で三角波発振回路を構成しています。R1は某雑誌には100kΩになっていたのですが作ってみると発振しなかったので62kΩにしました。実際製作して周期を測定するとT=27(mS)でした。f=1/27(mS)=37(Hz)
周波数の計算式f=1/(4×0.1μ×100k)×100k/62k=40(Hz)ほぼ近い値ですね。
半固定の10kΩは測定物にかかる電圧を調整するためのものです。私の場合は±2(Vp-p)に調整しました。2Vくらいなら壊れないだろうと考えたからです。
次のTL084 1/4のオペアンプと2SC1815Yと2SA1015Yのプシュプル回路で電流ブーストしています。
R3は負荷抵抗です。オシロスコープのX軸のプローブが負荷抵抗50Ωの両端につながります。±2(Vp-p)でX軸が動くと言う事です。
R2は電流検出用抵抗です。電圧=電流×抵抗なので抵抗が固定なら電流に比例した電圧が発生します。R2の両端にオシロスコープのY軸のプローブをつなげます。またR2は測定物の電流制限抵抗の役割も果たしています。±2(Vp-p)であれば測定物には2mA以上の電流は流れません。

カーブトレーサーの回路図

実体配線図もどき
私は配線しやすいように下図のような実体配線図もどきを書きます。電源も含まれた全体図になっています。
負荷抵抗R3 50Ωは1/4W100Ωを2個並列にします。
持ち運べるように乾電池を使う事にしました。

カーブトレーサーの実体配線図

部品について
トランジスタの2SA1015Yと2SC1815YはhFE(電流増幅率)が近い値のものを選んで使いました。
電解コンデンサは耐圧の低いものでかまいません。手持ちの電解コンデンサを使っただけです。
私が使った部品は次の通りです。       

          部品表

部品名 個数
IC TL084
IC 7805
IC 7905
トランジスタ 2SA1015Y
トランジスタ 2SC1815Y
ダイオード 1N4148
抵抗 4.7Ω 1/4W
抵抗 100Ω 1/4W
抵抗 1kΩ 1/4W
抵抗 3.3kΩ 1/4W 
抵抗 62kΩ 1/4W
抵抗 100kΩ 1/4W
半固定抵抗 10kΩ
マイラコンデンサ0.1μF
マイラコンデンサ0.33μF
電解コンデンサ10μF/16V
電解コンデンサ22μF/25V
9V(006P)電池用スナップ
ユニバーサル基板50×72mmガラエポ

カーブトレーサーの基板
完成した基板

三角波をオシロスコープで表示
R3 50Ωの両端につなぎました。
三角波が出力されています。(1V、5mS/DIV)
±2(Vp-p)、27(mS)でした。
オシロスコープは友達のRF屋さんからのもらいものです。

ダイオード特性をオシロスコープで表示
回路図の通りオシロスコープをつなぎます。
オシロスコープのGNDはX、Yの片方だけで良いですよ。内部でGNDはつながっていますから。
それからX−Y測定レンジにするのを忘れないで下さいね。
測定端子には整流用ダイオードの1N4007をつないでいます。

ダイオード特性逆向きをオシロスコープで表示
測定端子のダイオードを逆向きにしてみました。
波形は反対になりますね。予想どおり。(笑)

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